「水性絵の具なのだから、洗濯機で洗えば簡単に落ちるだろう」と高をくくっていると、取り返しのつかないシミを残すことになります。ポスターカラーの顔料粒子は水彩絵の具よりも圧倒的に細かく、繊維の織り目の奥深くまで侵入してしまうため、一度完全に乾いて定着すると通常の洗濯用洗剤ではまず落とせません。
万が一服に付着してしまった場合は、時間の経過とともに勝率が下がっていきます。繊維を傷めずに顔料を掻き出すための緊急処置手順を解説します。
【絶対やってはいけないNG行動】
焦ってお湯(40℃以上)をかけたり、ドライヤーで乾かしたりしてはいけません。バインダーに含まれる成分が熱変性を起こし、繊維に焼き付いて二度と取れなくなります。また、濡れたティッシュでゴシゴシ擦るのも、汚れを広げて繊維の奥へ押し込む最悪の悪手です。
【正しいシミ抜き手順】
- 水流で表面の絵の具を流す:服の裏側から冷水または30℃以下のぬるま湯を当て、繊維の表面に残っている絵の具を水圧で押し流します。
- 固形石鹸(ウタマロ石鹸等)を直接塗り込む:弱アルカリ性の固形石鹸は、泥や顔料などの不溶性微粒子を包み込んで引き離す力が液体洗剤よりも圧倒的に優れています。シミ部分に直接擦り込みます。
- 歯ブラシで叩き出す:擦るのではなく、不要になった歯ブラシの毛先を使って「トントンと真上から優しく叩く」ようにして、繊維の隙間から顔料を浮かせます。
- クレンジングオイルの活用(頑固な乾燥シミの場合):石鹸でも落ちない乾いたシミには、メイク落とし用のクレンジングオイルを少量馴染ませます。オイルが顔料を取り巻く糊成分を溶かし、落ちやすくなります。その後、台所用中性洗剤で油分をしっかり乳化させて洗い流してください。