夏目ナナが芸能界からの完全引退を発表したのは2015年11月のことでした。当時35歳、タレントや女優として円熟期を迎えつつあった時期の電撃引退は、業界に大きな衝撃を与えました。
引退の直接的な契機となったのは、「母親の体調不良と介護」でした。彼女はデビュー当初から家族想いとして知られ、女手一つで育ててくれた母親への感謝を常に口にしていました。大阪で暮らす母親の健康状態が悪化した際、東京での芸能活動を継続しながら遠距離でサポートすることに限界を感じ、「そばにいて家族を支えたい」という思いが決定打となりました。
さらに、当時の特番インタビューや公式ブログの最終投稿で語られたのは、「やりきった」という充実感でした。20代前半で業界に飛び込み、頂点を極め、一般地上波のレギュラーまで上り詰めた10数年間。過酷なスケジュールと世間の偏見に晒されながらも戦い抜いた彼女にとって、30代半ばでの引退は逃避ではなく、「自分の人生の主導権を自分の手に取り戻すための卒業」だったのです。