通常の半角スペース(U+0020)や全角スペース(U+3000)を名前欄に入力して保存しようとすると、ほぼ全てのアプリでエラーが返されます。これには、現代のWebおよびアプリ開発で標準採用されている入力バリデーション(サニタイズ処理)が深く関係しています。
エンジニアリングの現場では、ユーザーが誤ってスペースキーを連打して登録することを防ぐため、文字列の両端から空白を自動削除する「trim()処理」や、正規表現による「空白文字のみで構成された入力の検知」を実装しています。ここで使われる判定基準が、国際規格Unicodeにおける「White_Space(空白属性)= Yes」というフラグです。
では、なぜ前述の透明文字コピペはエラーをすり抜けることができるのか。その核心は、通称トゥンイェと呼ばれる「U+3164(Hangul Filler / ハングル空白文字)」の特殊なプロパティ定義にあります。
U+3164は、古文ハングルを入力・合成する際、子音や母音のパーツが存在しない位置を補うプレースホルダーとしてUnicode策定初期に作られた歴史的遺産です。この文字は、国際規格上の分類(General Category)が「Letter, other(その他の文字種)」として登録されており、空白属性(White_Space)を持っていません。
つまり、バリデーションプログラム側は「ユーザーは通常の文字(文字種Lo)を1文字入力した」と判定してチェックを通過させます。しかし、いざスマートフォンのフォント描画エンジンが画面にレンダリングしようとした際、このコードには描くべきインク(グリフ)が存在しないため、結果として「データとしては文字が存在しているのに、人間の目には完全な透明に見える」という現象が引き起こされるのです。これこそが、LINE名前空白理由の技術的真実です。