ネット上のQ&Aサイトなどで散見される非常に危険な誤解が、「セレコックスを毎朝夕に飲んでいるが、痛みが引かないので手元にあったロキソニンを重ねて飲んだ」という体験談です。
セレコックスとロキソニンの併用は、添付文書上も固く禁じられており推奨されません。
一般社団法人日本ペインクリニック学会等の治療指針でも示されている通り、異なるNSAIDs同士を同時に服用しても「鎮痛効果の相乗効果・上乗せ効果」は臨床上ほとんど認められません。受容体の飽和によって鎮痛作用は頭打ちになる一方で、重篤な胃潰瘍、消化管穿孔、急性腎障害などの副作用リスクのみが急激に跳ね上がるためです。
さらに、一般に「胃に優しい」とされるセレコックスにも盲点が存在します。COX-2を選択的に阻害することで、血管壁のプロスタサイクリン(血管拡張・血栓抑制作用)が減少し、血小板のトロンボキサン(血栓形成作用)とのバランスが崩れるため、心筋梗塞や脳卒中などの心血管系イベントのリスクがわずかに上昇する可能性が国際的に指摘されています。心疾患の既往がある患者に対しては、医師は慎重な投与判断を行っています。