本作の大きな魅力は、辞書作りに情熱を注ぐ登場人物たちの鮮やかなキャラクター造形にあります。
馬締光也(まじめ みつや)
本作の主人公。大学院で言語学を専攻した言葉のエキスパート。周囲から変人扱いされていましたが、辞書編集部でその才能を開花させます。下宿先の孫娘・香具矢に一目惚れし、不器用ながら一途な恋心を育みます。
林 香具矢(はやし かぐや)
馬締の下宿先「早雲荘」の大家・タケおばあさんの孫娘。日本料理の板前を目指して修業中。馬締の言葉に対する真摯な姿勢と不器用な誠実さに惹かれ、やがて彼の生涯の伴侶となります。
西岡正志(にしおか まさし)
馬締の同僚編集者。お調子者で世渡り上手に見えますが、実は周囲への気配りに長けた情熱家。馬締の才能をいち早く認め、企画中止の危機から『大渡海』を守るために自ら宣伝部への異動を受け入れ、裏方として奔走します。
荒木公平(あらき こうへい)
玄武書房の辞書編集部を支えてきたベテラン。病気の妻を介護するために定年退職を決意し、後任として馬締をスカウトします。退職後も社外スタッフとして編纂に関わり続けます。
松本朋佑(まつもと ともすけ)
『大渡海』の監修を務める言語学者。言葉に対する飽くなき好奇心を持ち、常に用例採集カードを持ち歩く「辞書作りの鬼」。
岸辺みどり(きしべ みどり)
物語の後半、ファッション誌の編集部から異動してくる若手編集者。当初は辞書作りに戸惑いますが、馬締たちの熱意に触れ、言葉の持つ魅力に目覚めていきます。