頭痛やしびれを覚えた際、真っ先に生じる疑問が「自分は外科と内科のどちらに行くべきなのか」という点です。両診療科が扱う対象臓器は同じ「脳・脊髄・末梢神経・筋肉」ですが、アプローチの方向性は根本から異なります。
脳神経外科は、脳出血、くも膜下出血、脳腫瘍、頭部外傷といった「目に見える構造的・物理的な異常」を外科的手術や血管内治療によって取り除くことを本領とします。開頭手術だけでなく、足の付け根などから細い管を通すカテーテル治療など、急激な生命危機や不可逆的な機能障害を物理的介入で回避するスペシャリスト集団です。
一方の脳神経内科は、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、アルツハイマー型などの認知症、多発性硬化症といった「神経の変性や免疫異常、電気信号のトラブル」を詳細な問診と高度な検査で突き止め、内服薬や点滴、リハビリテーションを用いて管理することを専門としています。手術で切り取ることができない、脳の広範な機能低下や微細な神経ネットワークの障害を診るのが内科の領域です。
なお、医療機関の看板を見て混乱する要因の一つに神経内科から脳神経内科への名称変更経緯があります。長年「神経内科」と表記されていましたが、精神科や心療内科(メンタルクリニック)と混同され、適切な受診が遅れるケースが多発していました。日本神経学会の主導により、2017年頃から「脳や神経を専門に診る内科」であることを社会へ浸透させるため、標榜名を「脳神経内科」へ改称する医療機関が全国で統一されてきた背景があります。