トップアスリートが指導者に転身する際、しばしば囁かれるのが「天才肌の選手は感覚で動くため、人に教えるのが難しいのではないか」という懸念です。吉田沙保里に対しても、指導者就任当初は一部でそのような見方がありました。
しかし、実際の指導現場からの評判は全く異なります。彼女の強さは天性の才能だけでなく、父・栄勝氏の徹底した反復ドリルによって緻密に構築されたものでした。そのため、指導においても「なぜそのタイミングで入るのか」「足の角度はどうあるべきか」を言語化して論理的に教える能力に長けています。実戦に裏打ちされた説得力のあるアドバイスは、若手選手から「言葉の一つひとつに迷いがなく、スッと頭に入ってくる」と極めて高い信頼を獲得しています。