1991年の狂乱から35年が経とうとする2026年現在、『Santa Fe』はどのような評価を受けているのでしょうか。アート界および古書市場における現在のステータスを検証すると、驚くべき実態が見えてきます。
通常、150万部も大量増刷された印刷物は、数年も経てばブックオフなどの古本チェーンで数百円の投げ売り価格に転落するのが出版市場の常です。実際、2000年代初頭から2010年代にかけては、状態の良くない並本が1,000円以下でワゴンに並ぶ光景も珍しくありませんでした。しかし、近年その評価曲線は急激なV字回復を描いています。
その契機となったのが、2024年の写真家・篠山紀信氏の逝去です。世界的な写真界の巨星の足跡を再検証する動きが国内外の美術館やギャラリーで巻き起こり、その到達点の一つとして『Santa Fe』が再評価されました。さらに、宮沢りえ自身が日本を代表する本格派大女優としての確固たる地位を築き上げたことで、「大女優の原点にして唯一無二の青春の記録」という歴史的重みが加わったのです。
現在の古書市場では、コンディションの良い初版本(特にオリジナルの外装帯やインフォメーションペーパーが完全に残っているもの)は、定価を大きく上回る8,000円から15,000円前後で取引されています。また、欧米やアジアのアートブックコレクターの間でも「ジャパニーズ・ニュー・ウェーブ写真の金字塔」として蒐集の対象となっており、単なる過去のアイドル写真集の枠組みを完全に突破しています。