カフェで見かけるオレグラッセは、なぜ液体同士であるにもかかわらず混ざり合わず、くっきりと美しい境界線を保ち続けられるのでしょうか。その秘密は「液体の比重(密度)の差」にあります。
水に砂糖を溶かすと全体の体積あたりの質量が増加し、比重が重くなります。オレグラッセでは、下層に注ぐミルクにあらかじめガムシロップや練乳をしっかり混ぜ合わせることで、ミルクの比重をコーヒーよりも重く設定しています。一方で、上層に注ぐコーヒーは完全な無糖(ブラック)にするため、比重が軽くなります。
この比重の差がクッションの役割を果たし、重いミルクの上に軽いコーヒーが「浮く」状態を作り出しているのです。ただし、比重差をつけるだけでは不十分で、注ぐ際の運動エネルギーを極限まで抑える必要があります。勢いよく注いでしまうと液体の対流が発生し、一瞬で混ざり合ってしまいます。
そこで必須となるプロのテクニックがスプーンの背(または内側)を伝わせて静かに注ぐ方法です。グラスの内壁近くにスプーンを添え、そのスプーンを伝わせるように数滴ずつ垂らす感覚でコーヒーを流し込むと、ミルクの表面を波立たせることなく完璧な2層の境界線が完成します。