呼吸器疾患を調べる中で混同されやすいのが、「慢性気管支炎」「肺気腫」、そして「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の関係性です。現代の医学分類において、COPDは気道の狭窄によって息が吐き出しにくくなる閉塞性換気障害の総称であり、慢性気管支炎と肺気腫はその二大構成要素と位置づけられています。
日本呼吸器学会の診断指針において、慢性気管支炎の診断基準は臨床症状に基づいて厳密に定義されています。「喀痰を伴う咳嗽(咳)が、少なくとも連続して2年以上、毎年3カ月以上続くこと」であり、かつ肺結核や気管支拡張症など他の特異的疾患が除外された場合に診断が確定します。一方、肺気腫は画像診断(胸部CT)や病理組織学的に「肺胞壁の破壊と気腔の異常拡大」が確認される疾患です。
臨床的なCOPDと慢性気管支炎の違いを整理すると、慢性気管支炎は主に「太い気管支から細気管支の粘膜炎症・分泌過剰」であるのに対し、慢性気管支炎と肺気腫の違いは病変が「気道そのもの」か「ガス交換を行う肺胞組織」かという点にあります。現実の臨床では両者が併発しているケースが大多数を占めます。