ススカビが医学的にとりわけ危険視される最大の理由は、その胞子のサイズと強いアレルゲン活性にあります。アルテルナリアの胞子は長径が約20〜50マイクロメートル、短径が10〜20マイクロメートルと、室内カビの代表格であるペニシリウム(アオカビ)などに比べて大粒です。このサイズ特性により、鼻腔から喉、気管支の粘膜に留まりやすく、吸入した直後から粘膜を強く刺激します。
呼吸器系を中心に引き起こされる主な自覚症状には、以下のような特徴が見られます。
- 激しい咳・喘鳴(ぜんめい):夜間や早朝、あるいはエアコンを稼働させた直後に気道が狭まり、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という苦しい呼吸発作が起こる。
- アレルギー性鼻炎・結膜炎:サラサラとした透明な鼻水、連続するくしゃみ、目のかゆみや充血が長期間続く。
- アトピー性皮膚炎の悪化:皮膚バリア機能が低下している部位にカビ胞子が付着し、炎症や痒みが激化する。
- 夏型過敏性肺炎の疑い:カビの胞子を繰り返し吸い込むことで肺胞がアレルギー反応を起こし、発熱や息切れ、乾いた咳が長引く。
また、「アルテルナリアの毒性」について懸念する声も少なくありません。一部のアルテルナリア属菌は「アルテルナリオール(AOH)」や「アルテニュエン(ALT)」といったマイコトキシン(カビ毒)を産生することが知られています。これらは主に汚染された農作物(トマトやリンゴなどの腐敗部)を経口摂取した際の細胞毒性が問題視されるものであり、室内空気中に浮遊するレベルで直ちに急性毒性中毒を起こすわけではありません。しかし、慢性的な吸入暴露が気道上皮のバリアを破壊し、喘息を重症化させる毒性機序は臨床研究でも明確に裏付けられています。
「風邪薬を飲んでも咳が2週間以上治らない」「特定の部屋にいるときだけ息苦しい」という場合、医療機関(アレルギー科・呼吸器内科)でカビアレルギー検査(特異的IgE抗体検査)を受けることが推奨されます。「View39」などの多項目アレルギー血液検査セットには、吸入性アレルゲンの代表項目として「アルテルナリア」が組み込まれており、保険適用(3割負担でおよそ4,000円〜5,000円程度+初再診料等)で自身の感作レベルを特定できます。