長年パート従業員のキャリアカウンセリングや労務相談に携わってきた立場から現場を観察すると、退職で最も心をすり減らしているのは「真面目で責任感の強い人」です。
「私が辞めたら他の主婦仲間にシフトのしわ寄せがいってしまう」「人手が足りないのに辞めるのは裏切りではないか」という罪悪感に苛まれ、過労で体を壊してしまう方が後を絶ちません。しかし、組織社会学や心理学の観点から言えば、人員不足の解消は経営者や管理職の固有の責任であり、一人のパート労働者が背負うべき課題ではありません。
職場と自身の間に健全な「心理的バウンダリー(境界線)」を引くことが欠かせません。情や職場の空気に流されて自分の人生や心身の健康を犠牲にしてしまう状態は、組織に対する不健全な共依存を生み出します。契約に基づいた労働力を提供し、然るべき手続きを踏んで辞意を告げることは、労働者として完全に正当な行為です。
【即座に退職届を提出して立ち去るべき人の条件】
- 上司や同僚から暴言・いじめ・パワハラを受け、心身に明らかな不調(不眠、動悸、涙が止まらない等)が出ている。
- 「人手不足だから辞めさせない」と脅迫され、話し合いが一切成立しない。
- 給与の未払いや違法な労働条件が常態化している。
【退職願や事前の口頭相談から慎重に進めるべき人の条件】
- 職場の人間関係が良好で、店長や同僚に感謝の意を持っている。
- 近隣の店舗であり、退職後も私生活で職場の関係者と顔を合わせる機会が多い。
- 有給休暇の完全消化や、失業保険受給に伴う離職票の迅速な発行など、会社側の協力が不可欠な段取りを控えている。
周囲への配慮を怠らない姿勢は美しい美徳ですが、それ以上に自分自身の生活と尊厳を守る強い意志を持って、退職手続きに臨んでください。