無期雇用派遣をめぐる法的な混乱の典型が、労働契約法第18条に定められた「無期転換ルール(通算5年ルール)」をめぐる誤解と、派遣切りに対する法的保護の実態です。
まず前提として、同一の派遣元企業との有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者の申し込みによって無期労働契約に転換できる権利が発生します。しかし、現場では5年到達直前の4年半や4年11ヶ月のタイミングで契約更新を打ち切る「雇止めトラップ」が問題視され続けてきました。企業側が長期雇用の義務から逃れるためのクーリング期間(空白期間)の設定など、脱法すれすれの運用に泣かされた労働者は少なくありません。
さらに深刻なのは、晴れて無期雇用派遣になった後の「派遣切り」リスクです。派遣先企業と派遣元企業の間にあるのは「労働者派遣契約」という企業間取引に過ぎません。そのため、派遣先は経営状況が悪化すれば、契約期間満了をもっていつでも派遣契約を終了(派遣切り)させることができます。
派遣先から切られた場合、派遣元との雇用関係は継続するため即座に無職になるわけではありません。しかし、次の派遣先が決まるまでの間は「自宅待機」となり、法律上の休業手当(平均賃金の6割以上)しか支給されない事例が存在します。また、派遣元から「現在のスキルでは紹介できる案件がないため、遠方の現場へ異動するか、自己都合で退職してほしい」と実質的な退職勧奨に追い込まれるなど、解雇規制の網をかいくぐるグレーな退職圧力が存在するのも冷酷な現実です。