接骨院通院における医療費控除には、法律の解釈や制度の建て付けに起因する見落としがちな盲点がいくつも隠されています。
整形外科と接骨院の「重複受診」による否認リスク
ケガの治療において、整形外科(医師)に通いながら並行して近所の接骨院(柔道整復師)に通う患者は少なくありません。しかし、同一の負傷箇所(例えば同一の足首の捻挫)について、医師の同意や指示がないまま接骨院でも健康保険を使って施術を受けた場合、健康保険組合側から接骨院側の保険給付が取り消される事例があります。
健康保険の給付が取り消されて全額自己負担へ切り替わった場合、その費用が後から「医学的に見て有効かつ直接必要な治療であったか」を税務署から厳格に問われます。医師の明確な診断や同意がないまま自己判断で併用した接骨院の施術費は、医療費控除の現場でも治療の必要性を立証できず、控除を否認されるリスクを抱えることになります。
「領収書」と「療養費の支給申請書」の保管ルール
税制改正以降、確定申告時に領収書を直接税務署へ提出する必要はなくなりました。代わりに「医療費控除の明細書」を作成して提出し、元となる領収書は自宅で5年間保管することが義務付けられています。
健康保険を使って接骨院にかかった場合、年に数回、健康保険組合から「医療費のお知らせ(医療費通知)」が自宅に届きます。この通知を申告に利用することも可能ですが、接骨院の受診記録は反映までに数か月のタイムラグが発生することが通例です。そのため、申告時には必ず接骨院の窓口で発行された「領収証兼明細書」を手元に揃え、保険適用分と自費分がどう記載されているかを確認しなければなりません。