正規スタジオで断られた未成年者が、海外製ECサイトなどで安価なタトゥーマシンやニードルを購入し、自らの身体に墨を入れる「自彫り(セルフタトゥー)」に手を染める事例が後を絶ちません。しかし、この行為には人生を左右しかねない医学的・法的な破滅のリスクが潜んでいます。
医学的見地から見ると、滅菌環境のない室内での自彫りは、B型肝炎・C型肝炎ウイルスへの感染、重篤な敗血症、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)による化膿性皮膚炎を引き起こす危険極まりない行為です。通販で出回る出所不明のインクには、発がん性物質や高濃度の重金属(鉛、カドミウム)が含まれているケースが報告されており、アレルギー反応によって皮膚が壊死し、緊急切開手術に至った臨床例も存在します。
また、タトゥー自彫り危険性と違法性の観点では、処罰の境界線に注意が必要です。自分自身の身体に自ら針を刺す行為単体は、現在の日本の刑法において自傷行為と同様に扱われ、直ちに犯罪として処罰されることはありません。しかし、以下の状況に踏み込んだ瞬間、重大な刑事事件へと発展します。
- 友人に頼まれて彫った場合:青少年保護育成条例違反(未成年者への入れ墨の禁止)が成立。金銭の授受がなくても処罰対象となる。
- 傷跡が化膿し後遺症が残った場合:業務上過失傷害罪、または同意の有効性が否定された場合の「傷害罪」に問われる。
- 医師法違反の適用リスク:最高裁の判例(2020年9月)でタトゥー施術自体は「医行為ではない」と確定したものの、衛生基準を著しく欠いた危険な侵襲行為によって他者の健康を害した場合は、依然として警察の厳格な捜査対象となる。
「友達同士で記念に彫り合う」といった軽率な行為が、施術者側の家宅捜索や書類送検、被害者側の生涯残る皮膚障害という最悪の結末を招いているのが現場の実態です。