「コンテンポラリー(contemporary)」という英単語は、ラテン語の「con-(共に)」と「tempus(時間・時代)」に由来し、直訳すれば「同時代の」「現代の」を指します。しかし、単に「今作られているダンス」をすべて包括する言葉ではありません。舞台芸術におけるコンテンポラリーダンスの特徴と定義の核は、「既存のあらゆる舞踊形式や技法を疑い、ダンサー自身の身体と言語を用いて同時代の思想を提示する試み」にあります。
クラシックバレエには「アンドゥオール(股関節の外旋)」や「5つの足のポジション」という揺るぎない絶対的規範が存在します。一方で、コンテンポラリーダンスには統一された身体規範やステップの体系が存在しません。床を滑るフロアワーク、呼吸に合わせた脱力(リリース・テクニック)、日常の所作、沈黙の静止、さらには発声に至るまで、舞台上に現れるすべての事象が振付の構成要素になり得ます。
「何をやっても自由」と語られがちですが、その実態は無秩序な放任とは対極にあります。振付家は自らのコンセプトを具現化するために、解剖学的な身体運動の法則や空間理論、ドラマトゥルギー(劇作術)を精緻に組み立てています。観客が目にする一見アトランダムな動きの背景には、研ぎ澄まされた計算と実験の蓄積が存在しているのです。