グリスアップとは?愛車や機械の寿命を劇的に延ばすプロのメンテ術

グリスアップとは?愛車や機械の寿命を劇的に延ばすプロのメンテ術

グリスアップとは?愛車や機械の寿命を劇的に延ばすプロのメンテ術に関する知りたいポイントをわかりやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。

SNSや動画サイトのDIY情報が普及する一方で、誤った知識によるトラブルが後を絶ちません。保全の現場で特に問題視されている代表的な誤解を3点指摘します。

第1の誤解は、「グリスは限界まで大量に詰め込めば安心」という思い込みです。密閉型ホイールベアリングなどの空間容積に対し、グリスを100%隙間なく充填すると、高速回転時にグリス自身が激しく揉まれる「攪拌熱(かくはんねつ)」が発生します。結果として温度が急激に上昇し、油分が分離してゴムシールを内圧で吹き飛ばしてしまうのです。ベアリング内部への適正充填量は、一般的に空間容積の30%〜50%程度が適正とされています。

第2の誤解は、「異なる種類のグリスを適当に混ぜても効果は変わらない」という過信です。たとえば、リチウム系とカルシウム系、あるいはウレア系のグリスを不用意に混用すると、増ちょう剤の化学構造が破壊され、グリスが液状化して流れ出す「軟化流出」を引き起こします。異なる銘柄に切り替える際は、内部の古いグリスを完全に脱脂洗浄してから新油を充填するのが鉄則です。

第3の誤解は、「潤滑スプレー(浸透潤滑剤)を吹き付けておけばグリスアップの代わりになる」という誤認です。市販の浸透防錆潤滑スプレーは粘度が極めて低く、一時的にキーキー音を消す効果はあるものの、奥底にある既存のグリスを溶かして洗い流してしまいます。結果として数日後には完全に油膜が切れ、金属同士の急速な摩耗を加速させる引き金となるため、代用は絶対に避けなければなりません。

高橋 健太
著者

高橋 健太

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。