ネット検索では「ばね指は放置しても自然治癒するのか」という疑問が散見されます。軽度の炎症期(指の曲げ伸ばしに軽い違和感がある程度)であれば、患部を完全に安静に保つことで約2ヶ月〜6ヶ月の期間をかけて炎症が引き、自然寛解することはあります。しかし、すでに指がカクンと跳ねる「弾発現象」が出ている場合、日常生活で手を使わざるを得ない以上、機械的な摩擦が毎日繰り返されるため、完全放置で自然治癒することは極めて稀です。
市販や処方の「湿布(消炎鎮痛テープ)」を貼っても一向に治らないと悩む人が多い背景には、明らかな構造的ギャップが存在します。湿布に含まれるNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は皮膚表面から数ミリの皮下組織の炎症を和らげるには有効ですが、皮膚深部にある厚い腱鞘内部の物理的な肥厚や、トンネルの狭窄そのものを解除する物理的効果はありません。痛みを一時的に麻痺させることで、かえって無理に指を動かしてしまい、腱の引っかかりを増悪させる悪循環に陥るケースが目立ちます。
最も警戒すべきは「痛みを我慢して動かさずに固まること」と「無理やり力任せに伸ばすこと」の二大過誤です。放置して数ヶ月が経過すると、関節包自体が硬縮を起こす「近位指節間(PIP)関節の伸展不全」を併発し、もはや腱の炎症を抑えるだけでは指が完全に伸びない不可逆的な機能障害を残す危険性が跳ね上がります。