東京ドーム約7個分に相当する約32.2ヘクタールの広大な丘陵地に、ガラス張りの美しい近未来建築や大型遊具、手入れの行き届いた果樹園が広がる同園。初訪問の旅行者が一様に驚くのが、「なぜこれほどの施設に入場ゲートがなく、料金所すら存在しないのか」という疑問です。
その背景には、山梨県が推進する都市公園行政と果樹農業振興が結びついた明確な政策的意図が存在します。同園は一般的な民間アミューズメント施設ではなく、1995年に開園した「山梨県営の都市公園」です。県の基幹産業である「やまなしの果物」の歴史・文化・栽培技術を広く県内外へ啓発・発信するシンボル拠点として整備されました。
行政の公的資金(指定管理者制度)によって基盤インフラと景観保全が維持されており、来訪者から入場料を徴収して利益を上げるビジネスモデルを採用していません。その代わり、園内の飲食施設(カフェ・レストラン)、物産館での直売、さらには周辺の観光農園や宿泊施設、温泉地へと人を還流させる「地域経済のハブエンジン」としての役割を担っています。税金を原資としたパブリック空間だからこそ、誰もが無料で恩恵を享受できる仕組みが確立されているのです。