「1着のスーツで結婚式とお葬式の両方を使い回したい」と考える人は多いはずです。結論として、男性の場合は「準礼装用のブラックスーツ」であれば兼用が可能ですが、女性の場合は兼用が極めて困難です。
男性が1着を兼用するための必須条件
男性が慶事・弔事の双方で着回すためには、ベースとなるスーツ選びに明確な基準があります。 1. 完全な無光沢・漆黒の生地を選ぶ:光沢感のあるシルク混やシャイニー素材は結婚式専用になってしまい、葬儀では着用できません。マットな濃染加工ウール100%のシングル2ボタン(またはダブル)ジャケットを選びます。 2. ネクタイとチーフで表情を一変させる:
- 結婚式(慶事):白またはシルバーグレーのシルクネクタイ+白麻やシルクのポケットチーフを胸ポケットに挿す。
- お葬式(弔事):マットな黒無地ネクタイを着用し、ポケットチーフは完全に外す。ネクタイピンも外すのが通例。
3. シャツの襟型をレギュラーまたはセミワイドに統一:ボタンダウンシャツはカジュアル仕様のため、慶弔問わずフォーマルの場では着用しません。
女性の兼用が難しい構造的な理由
一方、女性の場合は慶事と弔事で求められる「装飾性」が相反します。 結婚式のゲストドレスは、レース、シフォン、刺繍、光沢感のあるカラーリングが好まれます。しかし、弔事用ブラックフォーマルは徹底して装飾を排し、襟ぐりの詰まった漆黒のアンサンブルである必要があります。 百貨店のフォーマル担当者によると、「女性のブラックフォーマルに慶事用コサージュや華やかなスカーフを巻いて結婚式に出席される方も一部いらっしゃいますが、どうしても喪服特有の重厚感とシルエットが目立ってしまうため、現在では慶事用ドレスと弔事用喪服を完全に分けて所持されるケースが8割を超えています」と解説しています。