胡蝶家の悲劇から生き残った妹の忍、そして人買いの手から救い出された幼きカナヲ。このふたりにとって、カナエは救世主であり、すべての基準だった。カナヲに「心を開くきっかけ」を与えるために手渡した一枚のコイン。自分の頭で考えられない少女に寄り添い、優しく背中を押したその行為は、物語の終盤で大きな結実を迎えることになる。
一方で、カナエの死は忍の人生を狂わせるほどの影響を与えた。本来は勝気で怒りっぽい性格だった忍が、姉の遺志を継ぐために「笑顔の仮面」を貼り付け、姉の羽織を羽織って戦場に立ち続けた姿は痛々しくも美しい。カナエの存在は、ふたりの少女の運命を優しく包み込むと同時に、残酷なまでの使命感を植え付けたのだ。