「性行為中にどうしてもイケない」「自分だけ絶頂に達したことがない」と悩む人は少なくありません。女性の約20〜30%が生涯で一度もオーガズムを経験したことがない、あるいは極めて到達しにくい「オーガズム障害(無絶頂症)」の傾向を持つとされ、男性でも射精に至らない「遅漏症・膣内射精障害」が増加傾向にあります。
イケない状態を引き起こす背景には、複合的な要因が絡み合っています。
1. 心理的緊張と「観客化(スペクテイター・アティチュード)」
「早くイカなければ相手に申し訳ない」「変な顔に見られていないか」と自分自身の行動を客観的に観察・評価してしまう心理状態を観客化と呼びます。交感神経が過剰に緊張し、快感伝達に必要な副交感神経の働きを阻害してしまいます。
2. 刺激の不一致とコミュニケーション不足
特に女性の場合、単純な膣への挿入刺激のみで絶頂に達する割合は全体の約2〜3割に過ぎません。圧倒的多数は陰核への丁寧で適切な角度・強さの刺激を必要としますが、それをパートナーに言語化して伝えられないことが大きな障壁となっています。
3. 薬剤の副作用および器質的要因
うつ病や不安障害の治療に用いられるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や一部の降圧薬、経口避妊薬などは、神経伝達を抑制しオーガズム到達を著しく遅らせる副作用があります。また、加齢に伴う血流低下や骨盤底筋の衰えも物理的な感度低下を招きます。