播種から約60日〜75日が経過し、本葉が15枚〜20枚前後に達した段階から、待望の収穫期に入ります。しかし、ここでも収穫の手順を過つと、蓄積したエネルギーを瞬時に枯渇させ、株全体を急激に萎縮させてしまいます。
最も重要なイタリアンパセリ水耕栽培収穫方法の鉄則は、「外側の成熟葉から順に、葉柄の根元近くを清潔なハサミで切り取る」ことです。
初心者にありがちな致命的ミスとして、上部だけを一斉にバリカン刈りのように切り戻してしまう事例が挙げられます。イタリアンパセリの地上部中心部には、新しい葉の原基が次々と生まれる「生長点(クラウン)」が存在します。この生長点を刃物で損傷したり水没させたりすると、二度と新しい芽が出なくなります。常に中心部の若葉を3〜4本温存しつつ、外周部へ垂れ下がってきた大きな葉を都度2〜3枚単位で摘み取るサイクルを守ることで、株の光合成能力を落とすことなく、数ヶ月にわたる「連続収穫」が可能になります。
また、栽培が長期化して初夏を迎えると、中心から太い茎が直立して先端に蕾(つぼみ)をつける「トウ立ち(抽苔)」現象が起こります。開花モードに入ると、植物はすべての栄養と水分を生殖器官へ集中させるため、葉が硬化して苦味が強まり、やがて株全体が急速に枯死へ向かいます。蕾の気配を検知した瞬間に、茎ごと根元から躊躇なくピンチ(摘芯)することが、食用ハーブとしての鮮度と柔らかな葉質を長期間キープするための実務的裏ワザです。