保護猫を迎え入れた際、正確な誕生日が分からず困惑するケースは珍しくありません。獣医師が年齢を推定する際、最も信頼性の高い指標としているのが歯の萌出(ほうしゅつ)と摩耗の状態です。
生後2〜3週頃から乳歯が生え始め、生後約2ヶ月で26本の乳歯が生え揃います。その後、生後3ヶ月半〜6ヶ月頃にかけて永久歯(全30本)へと生え変わります。真っ白で尖った歯が隙間なく並んでいれば、おおむね1歳未満から1歳前後と判断できます。
成猫以降は、歯の着色や削れ具合が推測の鍵となります。2〜3歳頃になると奥歯(臼歯)を中心に薄っすらと歯石が沈着し始め、5歳前後では切歯(前歯)の先端がわずかに摩耗して丸みを帯びてきます。さらに10歳を超えると、歯石の沈着が顕著になるだけでなく、歯肉の退縮や歯のぐらつき、場合によっては自然脱落が見られるようになります。
歯以外の身体的特徴も見逃せません。若い時期は弾力に富んでいた毛並みは、年齢とともに油分が減少し、パサつきや毛割れが目立つようになります。また、瞳の奥にある水晶体が加齢によって白く濁って見える「核硬化症」は、おおむね8〜9歳以降の猫に自然に見られる生理的変化の一つです。