ヒラメが「高級魚」、カレイが「大衆魚」として位置づけられる背景には、単なる知名度だけでなく、両者の生息域と捕食行動の違いに起因する絶対的な漁獲量と肉質の差があります。
ヒラメは水深10〜100m程度の砂泥底に身を潜め、上空を通過する生きた小魚を猛スピードで急襲します。瞬発的に海底から跳ね上がって獲物を捕食するため、背筋・腹筋をはじめとする全身の筋肉組織が強靭に発達しています。この運動量が、加熱しても硬くなりにくく、生の状態で極上の弾力を生む「白身の王様」たる肉質を作り上げます。
一方のカレイは、比較的深い泥底を含めた海底にじっと潜み、底を這う小動物を吸い込むように摂食します。長距離を急激に泳ぎ回る必要がないため、筋肉組織は水分を多く含み、柔らかくほぐれやすい性質を持ちます。このしっとりとした身質が、甘辛い煮汁を含ませる煮付け料理で真価を発揮する理由です。
市場における高級魚ヒラメの値段は、活魚輸送のコストや一本釣り・定置網での丁寧な扱いが求められることもあり、天然物であればキロあたり数千円の高値で安定推移します。対してカレイは底引き網などで一度にまとまった水揚げが可能なため、手頃な家庭の味として定着しています。