排液の滞留は、術後出血の早期発見の遅れや逆行性感染、縫合不全の悪化を招くため、適切な排液管理が欠かせません。しかし、誤った手技は患者に強い苦痛を与えるだけでなく、体内留置部の位置ずれや組織損傷を引き起こします。
徒手で行う場合、最も基本となる安全策は「患者の刺入部側(基部)を一方の手でしっかりと固定すること」です。固定が不十分なまま末梢側へしごくと、チューブが直接牽引されて体内組織を傷つけたり、ドレーンが自然抜去されたりする重大事故に繋がります。
具体的な徒手手順としては、刺入部から数センチ離れた接続部近傍を片手でしっかり保持し、もう一方の手の指にアルコール綿や滅菌潤滑剤を当て、滑りを良くした状態で排液バッグ側に向けてゆっくりとしごきます。急激なスピードでしごくと急激な陰圧が発生するため、一定のテンポを保つ配慮が欠かせません。
また、粘稠度が高い排液や太いチューブを取り扱う際には、専用器具であるミルキングローラーの使い方に習熟しておく必要があります。ローラー鉗子を用いる場合も同様に、基部側のチューブ折れ曲がり(キンク)や過度な挟み込みによるチューブの亀裂破損に細心の注意を払わなければなりません。
手技の実施と並行して、看護師は以下のドレーンチューブ観察項目を漏れなくチェックする必要があります。
- 排液の性状と推移:血性、淡血性、漿液性、胆汁様、膿性などの色調変化と混濁の有無。急激な鮮血化は再出血を疑う。
- 時間あたりの排液量:急激な増加(術後早期の100〜200mL/h以上の持続など)や、逆に予期せぬ急減(チューブ閉塞の疑い)。
- 呼吸性変動の有無:胸腔ドレナージにおける水封室の水柱が呼吸に合わせて上下動しているか(停止時は閉塞または肺の完全膨張を示唆)。
- エアリーク(気漏)の有無:呼吸や咳嗽に伴い排液ボトル内で持続的な気泡が発生していないか。
- 刺入部周囲の局所状態:発赤、腫脹、熱感、皮下気腫の握雪感、縫合糸の緩みや滲出液の漏れ。