かつて運動会の目玉であった多段ピラミッドや人間タワーの崩壊による重傷事故が社会問題化したことを受け、文部科学省および各自治体は2010年代半ばから抜本的な安全指導通知を発出してきました。その結果、2026年現在の公立小学校における運動会では、「高さの競争」から「表現力と連帯感の追求」へと完全にシフトしています。
現場の教員や保護者への取材・意識調査によると、組体操そのものを一律に全廃した地域がある一方、種目名を「表現運動」や「マスゲーム」へと改編し、少人数技のみを組み合わせて継続する学校が多数派を占めています。その中でサボテンは、「2人の信頼関係と身体コントロールを学ぶ上で、教育的効果と視覚的見栄えのバランスが最も取れた技」として現場から根強い支持を得ています。
ある公立小学校の体育主任は、現場の空気感を次のように証言しています。
「以前のように全員に同じ高難度技を強制する時代は終わりました。児童の体格や筋力、恐怖心の度合いを個別に診断し、サボテンを行うペアと、低重心の別技を担当するペアを分けるなど、柔軟な指導体系が定着しています。無理をさせないことが、結果として児童の主体的な達成感につながっています」