スーパーの鮮魚売り場などで見かける「生食用」と「加熱用」の表示について、多くの消費者が「生食用は獲れたてで新鮮、加熱用は鮮度が落ちた古いもの」と誤認しています。これは食品安全上、極めて危険な思い込みです。
生食用と加熱用の違いは、鮮度ではなく「採取された海域の環境」と「浄化プロセスの有無」にあります。
牡蠣は1日に数百リットルもの海水を吸い込んで植物プランクトンを濾過捕食する生態を持っています。その際、生活排水などが流れ込む沿岸海域では、海水中のノロウイルスや細菌が内臓(中腸腺)に濃縮蓄積されます。加熱用として出荷される牡蠣は、プランクトンが豊富で身が大きく育ちやすい沿岸海域で育てられていることが多く、味や鮮度は抜群ですが、ウイルスの保有率が高い前提で出荷されています。
「新鮮だから少し生でも大丈夫」「表面を炙っただけだから大丈夫」と加熱用牡蠣を生に近い状態で口にする行為は、自ら高濃度のウイルスを取り込む危険な行為です。安全に生食を楽しみたい場合は、必ず食品衛生法の規格基準を満たした生食用表示のあるパックを選ぶ必要があります。