本作の社会派サスペンスとしての圧倒的な強度は、原作者である相場英雄の手腕に負うところが大きい。政治や経済の裏側に精通した著者が描くのは、表向きの華やかな記者会見ではない。スモークガラスの向こう側で行われる「生々しい本音の駆け引き」だ。
特に圧巻なのは、大手新聞社と政権中枢との危うい距離感の描写である。取材対象に肉薄すればするほど、ジャーナリスト自身が権力の装置に取り込まれるリスクを孕む。情報を得るためにどこまで一線を越えていいのか。報道の矜持と組織の論理との間で苦悩する記者たちの姿は、現代のジャーナリズムのあり方そのものを鋭く問うてくる。