西岸海洋性気候(Cfb)を正しく理解する近道は、同じ温帯に属する「温暖湿潤気候(Cfa)」および「地中海性気候(Cs)」、そして比較対象となる日本の冷温帯地域と数値を並べて対比することです。気象庁および世界気象機関(WMO)の平年値データに基づき、主要都市の数値を比較しました。
表を見れば明らかなように、温暖湿潤気候(Cfa)との決定的な違いは「夏の暑さ」です。Cfaは最暖月が22℃を超え、熱帯夜が頻発する亜熱帯的な夏を迎えますが、Cfbは22℃を下回りカラッとしています。
また、同じヨーロッパに広がる地中海性気候(Cs)との違いは「降水の季節配分」にあります。イタリアやスペインなどの地中海沿岸は、夏になると真っ青な乾燥した青空が続き草木が枯れるほどですが、ロンドンやパリなどのCfb地域は夏でも定期的に雨が降り、緑が生き生きと保たれます。
では、四方を海に囲まれた島国である「日本に西岸海洋性気候が存在しない理由」は何でしょうか。海に囲まれているとはいえ、日本列島は巨大なユーラシア大陸の「東岸」に位置しています。冬はシベリアからの乾燥した極寒風をまともに受け、夏は太平洋高気圧から湿った熱風が吹き込むという「モンスーン(季節風)」の支配下にあります。西から吹き付ける偏西風の恩恵を受ける前に、大陸発の過酷な寒暖差に飲み込まれてしまうため、日本にはCfbが基本的に成立しないのです。