イギリスの作家ダイアナ・ウィン・ジョーンズによる原作小説『魔法使いハウルと火の悪魔』を読むと、宮崎駿監督がいかに大胆なキャラクターの再構築を行ったかが鮮明になる。原作におけるサリバン(ベンジャミン・サリマン)は男性の宮廷魔法使いであり、ハウルとはまた異なる人間関係が描かれていた。
ジブリ版において宮崎監督は、このキャラクターを威厳に満ちた女性「マダム・サリバン」へと変容させた。この変革により、物語には母性と権威、指導者としての厳格さが同居する独自のダイナミズムが生まれた。原作の要素を巧みに抽出しつつ、映画全体の反戦テーマと結びつけた脚本の妙は、ファンタジーアニメの歴史においても突出したクオリティを誇る。