地方局のアナウンサーが自費で写真集を制作し、それが全国紙や週刊誌でトップニュースとして扱われる――出版界でも極めて珍しいこの現象の中心にあったのが、竹中知華のファースト写真集『ASAP(アサップ)』でした。
多くの読者が抱く「なぜ現役に近いアナウンサーがグラビア写真集を出したのか」という竹中知華の写真集発売理由には、切実かつ壮絶な舞台裏が存在します。当時、夕方の報道番組に出演していた彼女に対し、一部の視聴者から「胸が強調されていてニュースに集中できない」「NHKのアナウンサーとして不謹慎だ」といった心ない苦情電話や投書が放送局に寄せられていました。ネット掲示板などでも体型ばかりが取り沙汰され、アナウンス技術や取材への真摯な姿勢が覆い隠されてしまう日々に、本人は深い苦悩を抱えていたといいます。
当時のインタビュー手記によると、彼女は「隠そうとすればするほど不自然になり、好奇の目に晒される悪循環」に直面していました。そこで彼女が下した決断が、コンプレックスや外野の声をエネルギーに変え、「隠すのではなく、プロのカメラマンの手で美しく健全な姿を残す」という選択でした。この竹中知華の自費出版の経緯は、受動的な被害者にとどまることを拒否し、自らの身体の主権を取り戻すための、ある種のエンパワーメント宣言だったと分析できます。