歌舞伎の歴史において、高麗屋の名跡はつねに革新と背中合わせだった。四代目松本金太郎として産声を上げ、2018年に八代目 市川染五郎を襲名。幼少期から歌舞伎座の重厚な空間で薫陶を受け、父親である十代目 松本幸四郎とともに大舞台を踏んできた。血筋という大樹の影に甘んじることなく、基礎稽古を怠らないストイックな姿勢は周囲の劇評家をも唸らせる。
古典の型を身体に叩き込みながら、自身の感受性を役に注ぎ込む作業。歌舞伎の演目『連獅子』や『勧進帳』で見せた気迫に満ちた立ち回りは、受け継がれた血脈の濃さを証明すると同時に、若き表現者としての熱量を雄弁に物語っていた。