下北沢という街の記憶は、演劇文化と切り離して語ることはできない。その中心地である本田劇場から歩いてすぐの場所にあるこの店は、まさに演劇人たちの「第二の食堂」として親しまれてきた歴史を持つ。
看板俳優として第一線で活躍する古田新太や、演劇界の大御所である渡辺えりをはじめ、数多くの役者やスタッフが若手時代からこの場所で皿を重ねてきた。壁一面に飾られたサイン色紙やポスターの数々は、単なる飾りではない。舞台に情熱を傾ける者たちの息遣いと、それを温かく見守ってきた店の歴史そのものだ。夜の公演が終わると、熱気を帯びた演劇人たちが集い、熱い演劇論を戦わせながらパスタを平らげる光景は、今や下北沢の風物詩となっている。