本作の軸となるのは、恋愛感情を持たない2人が始めた「家族づくり」の試みです。周囲の無理解や偏見、悪意のない善意に直面しながらも、自分たちらしい生き方を模索する人間関係が丁寧に紡がれました。
主要な登場人物とそれぞれの関係性は以下の通り整理できます。
【主要キャスト・登場人物一覧】
- 兒玉咲子(岸井ゆきの):スーパー「まるまるの森」企画営業部員。恋愛感情が分からず悩んでいたが、羽菜野との出会いを機に自分のセクシュアリティを自覚する。
- 高橋羽菜野(高橋一生):青果店「羽菜野青果」の店主。合理主義者で他人に過度な期待をしないアロマンティック・アセクシュアル。
- 松岡一(濱正悟):咲子の同期で元カレ。悪気のない「普通」の価値観を押し付けがちだが、咲子を大切に思うがゆえに葛藤する。
- 門脇千鶴(小島藤子):咲子の高校時代からの親友。咲子の最大の理解者であり、本音で語り合える存在。
- 猪塚遥(菊池亜希子):羽菜野の元同僚で友人。羽菜野の過去を知り、アロマンティックである彼の良き相談相手。
- 兒玉さくら(西田尚美):咲子の母。娘の結婚と幸せを心から願うあまり、無意識にプレッシャーを与えてしまう。
- 兒玉博司(小市慢太郎):咲子の父。温厚だが家族の価値観においては昔ながらの考えを持つ。
- 兒玉みのり(北香那):咲子の妹。既婚で妊娠中。姉の生き方に疑問を抱きつつも気にかける。
- 兒玉大輔(アベラヒデノブ):みのりの夫。兒玉家の婿として自然体に振る舞う。
一見すると「男女の同居=いずれ恋愛に発展する」というステレオタイプな期待を抱かせがちですが、本作はその安易な着地を徹底的に拒否します。恋人でもなく、従来の血縁家族でもない「アロマンティック・アセクシュアル同士の共同生活」という新たな関係性の確立こそが、本作が描き切った人間関係の核心です。