根本的な違いは極めて明快だ。その金品に「労務・役務に対する対価性があるかどうか」に尽きる。
謝礼とは、相手が費やしてくれた時間、労働、専門知識に対する報いとして支払う金品を指す。実務上は「謝金」と同義で扱われるケースが多く、講演の登壇、原稿の執筆、専門的なアドバイスの提供など、明確なアクションに対して発生する。対価としての性質を帯びているため、ビジネスにおいては一種の報酬とみなされる。
一方で、御礼は対価を前提としない。恩義や好意に対する純粋な感謝、あるいは慶弔時などの節目に贈る気持ちの表現だ。『日本経済新聞』やビジネス誌『PRESIDENT』の特集でもしばしば指摘されるように、この二つを混同すると「対価を払うべき場面で気持ちばかりを押し付ける」あるいは「純粋な好意に値札をつけてしまう」という致命的なコミュニケーションエラーを引き起こす。