麒麟の魅力を最大限に引き出すためには、色彩設計の選択も極めて重要です。墨一色で陰影を表現する「カラス彫り(墨彫り)」と、鮮麗な色彩を施す「カラー」には、それぞれ異なる美学が存在します。
和彫り麒麟の墨・カラー比較を行うと、墨仕上げは重厚で渋みのある伝統的な佇まいとなり、経年変化とともに肌に馴染む独特の風合いが魅力です。墨の濃淡(ボカシ)のみで鱗の立体感や毛並みを浮き上がらせる技術は、彫師の腕がダイレクトに試されます。
一方、カラー仕上げでは、中国五行思想に基づく「青・赤・黄・白・黒」の五色を取り入れることで、神々しさが際立ちます。炎の赤や鱗の深緑、たてがみの金茶などが鮮やかに交錯し、現代的な華やかさと視覚的インパクトを獲得できます。
いずれの手法においても、後悔のない仕上がりを手に入れる鍵は彫師による麒麟の下絵と図柄のすり合わせにあります。体格や筋肉の付き方は一人ひとり異なるため、既存のフラッシュをそのまま貼るのではなく、直接肌にペンで下描きを行う「フリーハンド」や、身体の曲線を計算し尽くしたフルカスタムの下絵を作成してくれる彫師を選ぶことが肝要です。