極めて質素な日常食が続く刑務所ですが、年に数回、受刑者が心待ちにする「特別給養」と呼ばれる行事食が提供されます。受刑者の心情安定や日本の伝統行事を体感させる教育的配慮として、祝日や季節の節目に特別な献立が組まれます。
代表的な特別メニューが、正月三が日に振る舞われる「おせち料理」です。施設によって多少の差はあるものの、プラスチック製のお重に黒豆、数の子、伊達巻、紅白なます、煮しめなどが詰め合わされ、元旦の朝には雑煮風の汁物が付きます。
さらに、12月24日や25日のクリスマス前後には、フライドチキン風の鶏のから揚げや、小型のショートケーキ(またはチョコレートケーキ)がデザートとして支給されます。甘味の摂取が厳しく制限されている環境下において、この時期の洋菓子は受刑者にとって最大の嗜好品として記憶に残るメニューです。
そのほか、端午の節句には柏餅、土用の丑の日にはうなぎの蒲焼き(またはうなぎ風の練り製品)、大晦日には年越しそばが配られるなど、季節感を感じさせる工夫が凝らされています。