バーモントカレーを真の「国民的食品」へと押し上げた最大の立役者が、1973年から12年間にわたってテレビCMに出演した歌手・西城秀樹さんでした。
「ヒデキ、感激!」「ハウス バーモントカレーだよ」というフレーズと、リンゴとハチミツがとろりと溶け合う躍動感あふれる映像は、当時の子どもたちの心を鷲掴みにしました。トップアイドルが屋外で仲間とカレーを豪快に頬張る姿は、高度経済成長期における「豊かで明るい食卓」の象徴となったのです。
家族社会学の観点から見ても、バーモントカレーの普及は日本の家族構造の変化と密接に連動していました。昭和30〜40年代の都市化に伴う「核家族化」が進む中、家族全員が一堂に会して同じメニューを食べる「家族団らん」は、家庭円満の最も重要な指標とされました。子どもに辛さを我慢させることなく、大人も満足できる深いコクを実現したバーモントカレーは、まさに「昭和の家族団らんを具現化するメディア」としての役割を果たしたと言えます。