予算を抑えつつリッターZの魅力を享受したい層の間で、常に議論されるのが派生モデルである「KZ1000LTD」と「KZ1000J」の実力です。かつてアメリカンクルーザーとして不人気だったKZ1000LTDは、現在優れたカスタムベース車として再評価の波に乗っています。
LTDはフロント19インチ・リア16インチという独特のファットスタイルを採用していますが、フレームの前半構造やエンジン本体はA型と基本的に共通です。リアホイールを18インチ化し、Z1スタイルのティアドロップタンクやテールカウルを装着することで、本格的なロードスポーツ仕様へとコンバージョンする手法が確立されました。ただし、シートレール後半のドロップ形状が異なるため、フレームの切断・ループ加工を伴う外装フィッティングの工賃(数十万円規模)を織り込んで予算を組む必要があります。
一方、1981年に登場した「KZ1000J」は、まったく異なる進化を遂げたサラブレッドです。AMAスーパーバイク選手権でエディ・ローソンが跨り王座を獲得したマシンのベースとなったJ系は、クランクシャフトの軽量化、ピストン系の刷新、吸排気バルブ径の大型化が図られた完全なレース志向ユニットです。初期型Z1の重厚な乗り味とは一線を画す俊敏な吹け上がりが魅力ですが、A型とは共通部品が少なく、エンジンパーツの流用が制限される点は事前に留意しなければなりません。