『悪の教典』結末とハスミン凶行の真相!映画・原作比較と続編の影

『悪の教典』結末とハスミン凶行の真相!映画・原作比較と続編の影

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蓮実聖司が私立晨光学院高校2年4組の生徒たちにショットガンを向けた引き金は、単純なサディズムや突発的な精神疾患による発狂ではありません。原作小説『悪の教典』(貴志祐介著・文藝春秋)に克明に記されているのは、彼が生まれ持った「重度の共感不全(サイコパシー)」に基づき、チェス盤の駒を整理するかのように導き出した冷徹な損益計算でした。

当時、ハスミンが構築した完璧な学園内カーストには複数の綻びが生じていました。同僚教師の弱みを握った恐喝、校内カンニング事件の追及、女子生徒との不倫隠蔽、そして自身の本質を見抜き始めていた男子生徒・園田や同僚教師・釣井への監視など、同時多発的なリスク管理に限界が訪れていたのです。彼にとって生徒や同僚は愛情を注ぐべき人間ではなく、ただ自らの社会的居場所を脅かす「バグ」に過ぎませんでした。

決定打となったのは、文化祭前夜のカッターナイフ自殺偽装工作の失敗です。個別の偽装殺人を重ねるよりも、「狂気に囚われた不審者(あるいは不良生徒・蓼沼)による学校占拠と集団乱射事件」をでっち上げ、クラス全員を消し去って責任を他者へ擦り付けるほうが、長期的な生存確率が高いと判断したのです。刑法39条の心神喪失を装って責任能力を免れるシナリオまで冷然と織り込まれた、徹底的な自己保身の極致でした。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。