これまで、キャスティングの現場では二人の名前を同時に挙げることは一種のタブーとされてきた。キャラクターの重複を避けるため、あるいは事務所側の配慮によるものと噂されてきたが、実態はもっとシンプルだったのかもしれない。お互いに対するリスペクトがあるからこそ、中途半端な企画での共演を避けていたのだ。
関係者の証言によれば、過去にも何度か共演の打診はあったという。しかし、「二人が並ぶ意味」が見出せない企画はすべて見送られてきた。今回の濱口監督による緻密な脚本と、二人の対峙が不可避なキャラクター設定があって初めて、この奇跡のプロジェクトが動き出したのである。