ネット掲示板やSNSでは時折、「ペットショップで売れ残った犬猫をタダで譲ってもらった」という体験談がまことしやかに語られます。しかし、大手チェーンをはじめとする正規のペットショップにおいて、一般客への店頭直接・無料譲渡は原則として行われていません。
最大の理由は、生体売買契約における責任の所在と営業上のリスク管理にあります。ペットショップが販売する生体には、ワクチン接種代、マイクロチップ装着費、遺伝子検査費用、中間管理コストなどが原価として投じられています。仮に「売れ残ったから」と無償で譲渡してしまうと、定価で購入した他の顧客との不公平感を生むだけでなく、譲渡直後に潜伏期間の感染症や先天性疾患が発覚した場合の補償責任を巡って重大なトラブルに発展しかねません。
また、ペットショップ値下げの真相を追うと、生体価格は月齢に応じて段階的にディスカウントされる仕組みが定着しています。一般的に需要が最も高いのは生後2〜3か月(8週齢直後)であり、この時期を過ぎると以下のような価格推移をたどります。
- 生後2〜3か月:定価販売(30万円〜60万円前後、人気犬種・猫種ではそれ以上)
- 生後4〜5か月:第1次値下げ(定価の20〜40%オフ、店舗間移動や「おすすめ犬」としての再プロモーション)
- 生後6〜8か月:大幅値下げ(10万円以下、または「ワクチン代・諸費用のみ実質数万円」のセール枠)
- 生後8か月以降:バックヤードへの移動、系列の譲渡専用ブースへの移籍、契約保護団体への移送
そもそもペットショップ売れ残り理由の多くは、外見や性格の重大な欠陥ではなく、単に「月齢が進んで体が大きくなったこと」や「トレンドの毛色・サイズから外れたこと」に起因します。店舗側は赤字覚悟のディスカウントを行ってでも、正規の販売ルートで生体代金(または初期費用)を回収しようとするため、店頭での「無料引き取り交渉」には応じない構造になっています。