1979年のスタート以来、常に各時代の教育課題を映し出してきた『3年B組金八先生』。その中でも第5シリーズは、1990年代末の閉塞感と少年犯罪の凶悪化・低年齢化という時代の空気を最も色濃く反映したシリーズとして語り継がれています。その中心軸にいたのが、風間俊介演じる兼末健次郎でした。
健次郎のキャラクター造形は、それまでの不良生徒像とは決定的に異なっていました。学業優秀で礼儀正しく、教師陣からの信頼も厚い「模範的生徒」。しかしその裏では、同級生を巧妙にマインドコントロールして陰湿ないじめを主導し、日野美紀(亀代さつき役)らを使って担任の服部先生(上條恒彦)を学級崩壊の末に休職へ追い込む冷徹な首謀者でした。
当時、教室の影から冷たい笑みを浮かべ、大人たちを手玉に取る健次郎の姿は、多くの視聴者に戦慄を与えました。TBSの番組掲示板や当時の投書欄には「観ていて本当に腹が立つ」「恐ろしい中学生だ」といった声が殺到。それは取りも直さず、当時まだ無名に近かった風間俊介の圧倒的な表現力が生み出したリアリティの証明でもありました。