結論から明かすと、一般的な「壁掛け時計」「置き時計」や「シンプルな赤外線リモコン」に最適なのは、高価なアルカリ電池ではなくマンガン電池です。この事実を知らずに「長持ちさせたいから」とアルカリ電池を選んでしまうケースが多発しています。
なぜ微弱な電力で動く機器にアルカリ電池を入れると危険なのでしょうか。その理由は「過放電」と「電解液の性質」にあります。時計のように年単位で少しずつ電気を消費する機器に大容量のアルカリ電池をセットすると、電池が切れた後も回路に微弱電流が流れ続け、電池内部にガスが発生します。その内圧に耐えきれなくなった安全弁が開き、内部から電解液が噴き出すのです。
さらに深刻なのが液体の成分です。アルカリ電池の電解液は強い腐食性を持つ水酸化カリウム(強アルカリ性)であり、基板や金属端子を一瞬で腐食させるだけでなく、素手で触れると化学火傷を負う危険性すらあります。一方で、マンガン電池の電解液は塩化亜鉛などを主成分とする弱酸性・中性に近い液体のため、万が一漏れ出しても機器への致命的なダメージや人体への危害はアルカリ電池に比べて格段に抑えられます。
「休ませると電圧が自然回復する」というマンガン電池特有の性質は、ボタンを押す瞬間だけ電気を使うテレビリモコンや、秒針をコトコト動かす時計にとってまさに理想的な電源と言えます。ただし、近年のBluetooth接続型や音声認識マイクを搭載した多機能スマートリモコンは電力消費が激しいため、例外的にアルカリ電池が推奨されます。機器の取扱説明書を確認する習慣が極めて重要です。