ビデオリサーチが測定する関東地区の世帯視聴率データを俯瞰すると、紅白歌合戦の歩みはそのまま日本のリビングカルチャーの変遷を映し出しています。番組が2部制に移行した1989年(平成元年)以降、放送前半の「第1部(19時台〜21時前)」と、注目アーティストや目玉企画が集中する「第2部(21時〜23時45分)」では視聴傾向に明確な乖離が見られます。
昭和40年代から50年代にかけては、1963年(第14回)の歴代最高視聴率81.4%(関東地区・世帯)をはじめ、国民の大多数が同じチャンネルを共有する「国民的儀式」でした。平成中期までは40%台を堅守していたものの、令和以降は第2部でも30%台前半の推移が定着し、一部の年では第2部の歴代ワースト視聴率更新が大きく報じられる構造が続いています。
数字の低下だけに目を奪われがちですが、民放各局の看板特番が世帯一桁台から10%前後に沈むなか、紅白歌合戦の歴代視聴率推移において第2部が30%台を維持し続けている事実は、現代のテレビ業界において依然として規格外の集客力を持っている証拠でもあります。