女子プロレス団体スターダムで看板レスラーとして将来を嘱望されていた木村花さんは、2019年9月からNetflixおよびフジテレビ系列で配信・放送されていた『TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2026』に入居しました。リング上での華やかで力強いヒール(悪役)スタイルとは裏腹に、素顔はシャイで純粋な一人の女性として共同生活に臨んでいました。
状況が一変したのは、2026年3月末にNetflixで配信(フジテレビ地上波では5月放送)された第38話でした。いわゆる「木村花 テラスハウス コスチューム事件」です。花さんが命の次に大切にしていた東京ドーム大会用の特注試合用コスチュームを、同居していた男性メンバーが誤って洗濯機と乾燥機にかけて縮ませてしまい、激怒した花さんが男性を厳しく問い詰め、被っていた帽子を払い落とす様子が克明に放映されました。
この放送直後から、彼女のSNSアカウントには凄惨なバッシングが殺到します。木村花さんのSNS中傷の経緯を辿ると、配信開始直後から1日数百件から数千件規模の「死ね」「消えろ」「ブス」「暴力女」といった悪意あるリプライやDMが浴びせられ続けました。リングネームとしての強さと等身大の弱さの間で葛藤していた彼女は精神的に追い詰められ、自傷行為の痕跡をSNSに投稿した末、2026年5月23日に帰らぬ人となりました。
ネットユーザーが過剰な攻撃に走った誹謗中傷の理由について、当時の社会学的な分析では「正義の鉄槌を下しているという加害者の歪んだ倫理観」や「リアリティ番組の演出を完全なドキュメンタリーと誤認したことによる過剰な感情移入」が指摘されています。しかし、その背景には番組制作側が仕掛けた決定的な構造的問題が隠されていました。