物語の大きな転換点となったのが、第60回で描かれた戦前の別れから、およそ15年の時を超えて実現した第97回の再会シーンです。戦前の星野は、召集令状が届いたことを常子に告げ、自ら採取したアオモミジの押し葉を押し花手帳に挟んで「生きて戻ったら、僕のお嫁さんになってください」と約束を交わして戦地へと旅立ちました。しかし終戦後、星野の消息は途絶え、常子は彼が戦死したと思い込んで仕事に生きていました。
昭和30年、出版社の社長として奔走する常子の前に現れたのは、眼鏡をかけ、白髪の混じった落ち着いた佇まいの星野でした。街角で偶然すれ違い、信じられない面持ちで振り返る二人の視線が交錯した瞬間は、SNS上でも「鳥肌が立った」「息が止まるかと思った」と大反響を呼びました。星野が生きていた喜びと同時に、彼が結婚して子供をもうけていた(そしてすでに妻を病気で亡くしていた)という残酷な現実が、視聴者の胸を締め付けました。
再会後の星野は、常子の出版活動を陰ながら応援し、常子もまた多忙な星野の子供たちの面倒を見ることで、互いにかけがえのない心の拠り所となります。特に水族館へ出かけるシーンや、日暮れのベンチで語り合う場面で見せた坂口健太郎の眼差しは、言葉にできない哀愁と深い愛情に満ちていました。
別れの朝、星野は常子に向かって「あなたと出会えて、本当によかった」と穏やかな笑顔で告げ、常子もまた満面の笑みで彼を送り出します。結ばれずとも心は生涯繋がっているという、大人の純愛の極致がそこに描かれていました。