女性芸人におけるおかっぱは、男性とはまた異なる「生き様と戦略」を映し出しています。その筆頭であるおかずクラブ・オカリナは、お笑い界に入る前に看護師として4年間の病棟勤務経験を持つという、極めて現実的で堅実なバックボーンの持ち主です。
看護師という命と向き合う現場から一転、お笑いの門戸を叩いたオカリナにとって、素朴で飾らないおかっぱ頭は自意識を削ぎ落とした「究極のフラットさ」を象徴しています。おしゃれやモテをあえて追わない姿勢が、バラエティにおける体当たりロケやシュールなキス芸において、生々しさを消し去り純粋な笑いへと昇華させるバッファとして機能しているのです。
そして、阿佐ヶ谷姉妹のトレードマークである揃いのボブスタイルは、日本のお笑いシーンにおける「コンビの記号化」の到達点と言えるでしょう。血の繋がっていない二人が同じ髪型、同じピンクのドレスを纏い、まるで本物の姉妹であるかのように振る舞うことで、観客に強烈な安心感と日常の可笑しみを提供します。彼女たちの髪型は、奇をてらったウケ狙いではなく、阿佐ヶ谷という街の空気感や、アパートの隣同士で暮らす穏やかなシスターフッド(連帯)を体現する必然のフォルムとして、世間に深く受け入れられています。