たかじんさん逝去から約10ヶ月後の2014年11月、作家の百田尚樹氏が執筆したノンフィクション『殉愛』(幻冬舎)が出版されました。TBS系特番『中居正広の金曜日のスマたちへ』で大々的に取り上げられ、当初は「死の淵にいた巨星を無償の愛で支えた若き妻」という感動ストーリーとして世に送り出されました。
しかし、放送直後からネット上(当時の2ちゃんねる等)で徹底的な検証が開始され、著書に記された献身的な美談と、さくら夫人の実際の行動記録やブログ投稿との間に無数の矛盾が指摘される事態となりました。さらに、書籍内で「冷淡な親族」「遺産目当て」のように描かれたたかじんさんの実の長女や元マネージャーらが、名誉毀損とプライバシー侵害を理由に相次いで提訴に踏み切ります。
一連の裁判闘争において、司法は極めて明確な判断を下しました。東京地裁および東京高裁は、書籍『殉愛』における長女に関する記述の多くについて「真実であると信じるに足りる相当な理由がない」と判断し、幻冬舎および百田氏側に対し数百万円規模の損害賠償命令を確定させました。美談としてパッケージ化された純愛ストーリーの根幹が、法廷の場で客観的に否定された瞬間でした。